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てのひら仏壇 和(なごみ) が LIFE×DESIGN AWARD 2026秋 コンセプト賞を受賞しました。

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浜仏壇とは。

2026年8月26日
浜仏壇とは。

てのひら仏壇についてお話しするとき、
その背景として欠かすことのできないものがあります。

滋賀県長浜を中心とする湖北地域でつくられてきた、「長浜仏壇」です。
長浜では「浜壇(はまだん)」とも呼ばれてきました。

大きな屋根や柱、細かな彫刻。
漆塗り、金箔、蒔絵、錺金具。

一つのお仏壇の中に、木工、彫刻、漆芸、金工など、
さまざまな職人の技が重なっています。

一見すると、その大きさや華やかさに目を奪われます。
けれど、浜仏壇について知っていくと、
その魅力は見た目の豪華さだけではないことに気づきます。

そこには、湖北という土地で育まれてきた職人の仕事と、
ものを直しながら長く使い続ける文化があります。

■300年以上前から長浜でつくられてきた仏壇

長浜では、江戸時代前期にはすでに仏壇がつくられていました。
長浜市曳山博物館には現存する浜仏壇の中でも最古級とされる二基が展示されています。そのうち一基には延宝8年(1680年)の墨書銘が確認されており、
2024年には長浜市指定文化財となりました。

もう一基も、貞享2年(1685年)頃につくられたものと伝えられています。
少なくとも300年以上にわたり、この地域で仏壇づくりが続いてきたことになります。

その歴史の中で重要な役割を担ったのが、
長浜で代々活躍した大工の一門、
藤岡家です。

藤岡家は寺社建築や仏壇だけでなく、長浜曳山祭の曳山の製作にも関わりました。
藤岡重光が生み出した、唐破風や千鳥破風を備える大型の仏壇は、のちに「和泉壇」と呼ばれ、江戸時代の長浜を代表する仏壇として知られるようになります。

▶仏壇と曳山。同じ町で育まれた技

浜仏壇を知るとき、長浜曳山祭との関係も興味深いところです。
春になると長浜の町を巡る曳山には、彫刻や漆塗り、錺金具など、
さまざまな装飾が施されています。

浜仏壇にも、同じように木工、彫刻、漆、金工などの技が使われています。
そして実際に、藤岡家のように仏壇と曳山の両方を手掛けた職人たちがいました。
長浜市曳山博物館も、長浜仏壇と曳山との深い関係を紹介しています。

お寺や家庭の中に置かれる仏壇と、祭りの日に町を巡る曳山。
用途はまったく違います。
けれど、その二つを支えてきたのは、同じ地域に暮らす職人たちの手でした。

浜仏壇は、一つの工芸品というだけではなく、
湖北という地域に蓄積されてきた技術の集まりでもあるのだと思います。

■一人では、つくれない

浜仏壇は、一人の職人だけで完成するものではありません。
-木で形をつくる。
-彫刻を施す。
-漆を塗る。
-金箔を押す。
-蒔絵を描く。
-金属を加工し、錺金具をつくる。

それぞれの工程に、それぞれの技があります。

湖北には現在も、浜仏壇を支えてきた錺金具の技術や、米原市上丹生に受け継がれる木彫などが残っています。滋賀県も、浜仏壇、錺金具、上丹生木彫を湖北地域の伝統的な工芸・技術として紹介しています。

一人がすべてをつくるのではなく、
それぞれの職人が自分の仕事を担い、
最後に一つのお仏壇として形になる。

浜仏壇を見ると、完成したものの向こう側に、
たくさんの人の手があることが分かります。

▷ほどいて、直して、また使う

そして、私たちが浜仏壇に惹かれた大きな理由の一つが、その構造です。
浜仏壇は、さまざまな部材を組み合わせてつくられています。
そのため、長く使う中で傷んだときには、
それぞれの部分を修復し、再び整えることができます。

実際、長浜市曳山博物館では2025年、17世紀につくられたとされる浜仏壇を実際に解体し、内部に残された墨書や構造を調査する事業が行われました。

300年以上前につくられたものを、今の時代にもう一度ほどき、
その中を見ることができる。
そこには、完成した瞬間だけを考えたものづくりとは違う考え方があります。

古くなったら捨てるのではなく、
傷んだところを直す。そして、また整える。
そうやって、人から人へ、世代を越えて使い続けていく。

浜仏壇には、そんなものとの付き合い方が残っています。

暮らしの変化に合わせられる組立式

▷浜仏壇から受け取ったもの

てのひら仏壇は、浜仏壇をそのまま小さくしたものではありません。
あの大きさや豪華な装飾を、小さな形に縮めたかったわけでもありません。
私たちが浜仏壇から受け取ったのは、その奥にある考え方です。
いくつもの部材からつくられていること。
さまざまな職人の仕事が、一つのものになること。
人の手で整えられること。
そして、必要になればほどき、
直し、また使い続けられること。

300年以上前からこの地域でつくられてきた浜仏壇を見ていると、
伝統とは、昔と同じ形をそのまま残すことだけではないように思います。

そこに込められてきた技術や考え方を知り、
今の暮らしの中で、どのような形なら受け継いでいけるのかを考える。
てのひら仏壇も、そんな問いの中から生まれています。

美しい祈りののかたち


COLUMN

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